こんにちは、代表取締役社長・川原です。
浮気調査を依頼する人の多くが、並々ならぬ決意を抱いて相談されます。中には、お引止めしないと先走ってしまいがちな方も少なくありません。逆に、浮気調査・素行調査という行為自体に罪悪感を抱くかたもいらっしゃいます。
「そもそも相手の行動を探ることに法律上の問題は発生しないのか」
「調査費用は慰謝料に上乗せできるか」
そのようなご質問が多いため、ここで少しお話したいと考えます。
浮気調査は法律上どのような扱いになる?
我々は「探偵業の業務の適正化に関する法律」に従う義務があり、管轄の警察署に届け出を出して営業をしています。勿論、調査方法にも厳しく国からコンプライアンスが定められています。
また、浮気調査をしたことを理由に調停で不利になるといったことはありません。調査を依頼するまでの経緯や因果関係・やむを得ない事情があれば、正当な行為として認められます。
ほとんどの場合、パートナーが浮気の事実をひた隠しにする・家庭に悪影響を持ち込むといた状況で依頼を受けます。つまり、いずれのケースでも明確に「調査を依頼せざるを得ない状況」です。調査でクロと出た後に問題が複雑化するのは考えにくいと言えます。
浮気調査でやっていいこと
浮気調査に許されている方法は、悪質性がなく・度が超えていないものに限られます。
例えば、浮気当事者双方にしつこく話しかける行為・勤務先に電話して調査する行為は禁じられています。盗聴・盗撮・持ち物への細工も行いません。
依頼主から伺った情報だけを頼りに、対象の生活に影響を与えない範囲で尾行・撮影するだけです。
浮気調査でやってはいけないこと
どんなに不誠実な相手でも、やってはいけないこと・法律で罰せられてしまうことが多数あります。プロに任せず単独で浮気調査をすると、民事・刑事の両面で起訴されて賠償金を支払うことになりかねません。
多くの人が「法律上問題ない」と勘違いしがちな例を挙げます。
NG例1:ロックがかかっているものを勝手に解除する
パートナーのスマホやPCを覗き見てしまうのは、恥ずかしいことではありません。ほとんどの人が一度は気になって確かめてしまうものです。
しかし、アプリにかかっているパスワードを調べてを解除する・SNSのログイン情報を入手して勝手に中身を覗きみるといった行為は、「不正アクセス禁止法」に抵触する可能性があります。
不正アクセス禁止法第6条
不正アクセス行為の用に供する目的で、不正に取得された他人の識別符号を保管してはならない(1年以下の懲役又は50万円以下の罰金)
NG例2:郵便物を勝手に開封する
家族宛の郵便物をうっかり開封してしまうことは、どの家庭にもよくあることです。実はこれも、本来は禁止されていることです。
刑法第133条:信書開封罪
封をしてある信書を開けた者は、1年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処せられる
「相手に浮気という過失があるから止むを得なかった」という弁解をすることは出来ません。こちらにも十分注意が必要です。
NG例3:スマホにGPSアプリを仕掛ける
プライバシーに関する「個人情報保護法」では、位置情報も個人情報として扱われています。iPhoneの「友達を探す」機能のように双方が同意の上で設定していれば問題ありませんが、黙って位置情報通知アプリを仕掛けると、刑事責任を問われる場合があります。
NG例4:度を過ぎた盗聴・盗撮
同じくプライバシー侵害で訴えられる可能性のある行為として、盗聴・盗撮が挙げられます。ただし、どこからが侵害行為かは一般の人には判断しづらく、法律・判例の知識が必要となります。
当社での撮影は、いずれも共有・公共スペースで行い、過去に適法と判断された手段で行います。勿論ネットや他人に漏れないよう、厳重に情報管理しております。自己判断で鍵のかかった部屋にICレコーダーを仕掛ける・撮影をするといった行動をとるのは、ハイリスクです。
NG例5:「職場にバラす」と迫ること
社会的地位の高い人ほど、浮気をしているという噂は致命的になります。これを利用して「正直に言わないと職場に伝える」と脅しをかけてしまう人がいますが、脅迫・名誉棄損で刑事罰を受ける可能性があるのでNGです。
また、当社が報告した調査結果をもとにした
- 本人の同意なく他人に見せる
- 「職場に調査結果を送る」と告げて慰謝料の額を引き上げる
- インターネットで公開する
といった行動も、原則として罰せられます。
たとえ相手の過失が大きいとしてもこの点は変わりません。怒りに任せて行動しないことが肝心です。
浮気調査費用は請求できる
調査費用は、慰謝料とともに請求できます。ただし、次の3点が条件です。
- 調査の正当性(相手が悪質な手段をもって浮気を隠蔽している等)
- 金額の正当性(きちんと経費やかかった日数を証明できる書類があること)
- 不法行為が行われていないこと
上の2点は、証明書類の発行等により、当社だけで徹底することが可能です。3点目については、これまで挙げてきた様々な調査上のタブーについて、依頼主のかたにもご理解いただく必要があると考えております。
調査後にどんな決断をされるにせよ、再スタートに支障をきたしては元も子もありません。法律を遵守するのは、何よりも依頼主のかたの将来を見越してのことです。焦燥感や不安でいっぱいになりながらご相談されるかと存じますが、我々の存在を信頼して下さい。
記事協力:債務整理・企業法務 - 武村法律事務所